エンドロール
- 43
- 2020年5月3日
- 読了時間: 4分
本ブログへの訪問、ありがとうございます。
皆様いかがお過ごしだろうか。
GWが始まり、先週よりも更に暖かくなった。
筆者は半そでで散歩したが汗をかいてしまった。
散歩中にすれ違う人が少ないのは、帰省ではなく在宅推奨によるところが大きいかと思う。
来年は、活気に満ちた景色が広がっていることを願うばかりである。
今週の一曲 KOHH「They Call Me Super Star」
先週に続き、KOHHについての記事となる。
前回の記事で書いたように、4/29にKOHHのラストアルバム「WORST」がリリースされた。発表後、たちまちApple musicのアルバムチャート1位となり、大きな反響を呼んでいる(本ブログ作成時は3位)。
筆者は今回のアルバムはKOHHの最高傑作だと断言する。
そして、「They Call Me Super Star」が特に出色の完成度である。
そう考える理由は以下のふたつ。
①リリックの完成
KOHHのリリックはデビュー当時から、一貫してストレートである。
飾らない言葉で、ストレートに感情を表現する。
「いい女を抱きたい」「ブランドの服をたくさん着たい」「グラミー獲りたい」「富と名声を手に入れたい」等、とにかくスーパースターになることを夢見るリリックが多い。
代表曲の1曲、「Dirt boys」のリリックを見てみよう。
汚れまくり
だけど綺麗
首に刺青
芸術的
履いてるKsubi
ダメージデニム
シャツ Y-3
毎月買いすぎな服
高い物をハサミで切っちゃったりするけど
頭金持ち 見た目は貧乏
Andy Warholみたいな思考の人もいるよ
俺もそうだし 俺の友達もそう
楽しもう
超汚れまくりDirt Boys
ズルはしない 正直がいい
こっち来なbitch おっぱいにsignしちゃう
みんな汚れてもいいじゃん
New kicks Onitsuka Tiger Asics
周りで大麻吸ってる休日平日
ここで誤解してほしくないのは、これはただの下品な欲望ではないといことだ。
KOHHの生い立ちは壮絶だ。
2歳の時に父と死別し、母は薬物依存になってしまったため、祖母の手で育てられた。生活も決して裕福ではなかったそうだ。
上記の家庭環境は、般若「家族 Feat.KOHH」にて特に詳細につづられているが、KOHH自身のパートを以下のように締めている。
真夜中 亀戸のお墓に行って
一緒にレモン酎ハイを飲む
ねえ 黄 達雄 聞いてるか俺の音楽を
日本人だけど 韓国のお父さんの名前 俺も使うよ
KOHH
彼は父の名前を背負い、祖母への恩返しのために、スーパースターの地位を渇望するのだ。
前置きが長くなってしまったが、ここで「They Call Me Super Star」のリリックを見てほしい。
リーマン、運送屋に売人
ラッパー、モデルに芸能人
大金持ちそれともこじき
生まれる前卵子と精子
お金だけあっても馬鹿馬鹿しいし
まず地元に一軒家欲しい
高級シェフでも敵わない
すずんちの生姜焼き
スーパースターに憧れて
コンバースをボロボロにしていた
くだらないことはどうでもいい
一回やってみLove Sex Dream
クラブで酒よりあの子んちで見るDVD
高級ホテルより昔からの友達んち
知らない有名人よりいつもの仲間達
何十億人いる人間のうちの一人
But They call me superstar
前回の記事にも書いたが、KOHHは多くの国内外の有名アーティストとコラボレーションし、音楽活動以外にもファッションモデルとしても活躍し、世界的な知名度を獲得した。
名実ともにスーパースターになったKOHHにどのような景色が見えたのかは筆者には到底分からないが、彼が見つけた答えは「スーパースターKOHHを引退して、千葉雄喜の人生を送ること」だったのだ。
飾らないストレートの表現の対象が、「KOHHとしての見えない夢」から、「一般人としての等身大の幸せ」になったことで、彼の表現は完成を迎えたと言えるだろう。
②アルバムの完成度
先述のように、本作は彼の引退作である。
収録曲制作の時系列は不明だが、アルバムを通して聴いてみると非常にコンセプチュアルな作りになっていることが分かる。
アルバムの前半では今までの作品にも見られたスーパースターへの渇望が表現され、中盤から後半にかけて最愛のパートナーとの出会いが歌われる。
しかし、ただ愛情を享受するのではなく、命の短さや制約を伴った幸せも併せて描かれていく。
不穏なトーンのままアルバムは進み、終盤の2曲「What I want?」で、自分が本当に欲しいものは何かを自問し、「They Call Me Super Star」で、かつてのKOHHはもう存在しないことが告げられる。
そして最終曲のタイトルは「手紙」。
育ててくれた祖母への感謝と謝罪の気持ちを淡々と述べる約2分の本曲は、最後に自身の本名をつぶやいて終わる。
つまり、「WORST」は一枚を通じてKOHHのキャリアを総括しながら千葉雄喜の人生の始まりにも繋がっていく、まるで一つの映画のエンドロールのような、これ以上ない引退作なのである。
「They Call Me Super Star」のアウトロでは、1stアルバム収録の「Far Away」のメロディが挿入されている。まるで、KOHHからの最後のエールのような響きを持つ感動的なアレンジだ。
今作を聴き終えて、KOHHの表現者としての素晴らしさ、替えの利かない唯一無二の才能を再認識した。キャリアの絶頂期に引退を覚悟する潔さへの称賛として、今後も彼の作品を聴き続けたいと思う。
最後にKOHHの「Be me」のリリックを引用して、今週のブログを締めたいと思う。
I know you wanna be me.
でもやめといた方がいい
Why you wanna be me?

皆様の週末が充実しますように。
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